ACCAの2027年の制度変更について
【2027年変更】新制度の科目・新論点・新旧比較(Data Science/サステナビリティ対応)
2027年からACCAは試験制度(シラバス)を大きく刷新し、会計知識だけでなく
データ分析・デジタル・サステナビリティ・倫理/リーダーシップを中核に据えた実務での活用性が更にアップした資格へアップデートします。
とはいえ、全体としては受験生にとっては有利な変更になります。
ここでは、ACCA 2027年変更点を「新旧比較表」と「新論点の要約」で一気に把握できるよう整理します。
ACCA 2027変更の結論
こちらがACCAが公表した全体像になります。

- 試験構造が再編され、学習の段階(レベル)がより「実務成長ストーリー」に沿った形へ。
- 科目数は微減し、代わりにモジュールを利用した学習が重視。負担が減った形になった。
- Strategic Professionalの選択科目が「2→1」になり、より合格しやすくなり、専門性を明確化する設計に。
- 新論点の中心は「Data(分析)」「Digital(技術)」「Sustainability(ESG)」「Ethics/Leadership(倫理と統治)」。
- 既存受験者は原則として移行(マッピング)で学習の積み上げが守られる方向なので学習をやめる必要はなし。そのまま引き続き学習すればOK。
※本記事は「受験者が理解しやすい整理」を目的としています。正式な科目名・要件・移行表はアップデートされる可能性があるため、最終確認は必ずACCA公式の発表を参照してください。
【新旧比較表】ACCA 2027の制度変更ポイント
まずは全体像を俯瞰しましょう。ACCA 2027新制度は「科目の入れ替え」だけでなく、
評価する能力(スキルセット)を現代のビジネス環境に合わせて再設計する動きです。
| 項目 | ~2026年まで(旧制度) | 2027年以降(新制度) |
|---|---|---|
| 資格構成 | Applied Knowledge / Applied Skills / Strategic Professional | Foundations / Knowledge / Expertise / Strategic Professional |
| 制度の狙い | 会計・監査・税務の体系的知識+試験合格 | 実務適用力+データ・デジタル・サステナビリティ+倫理 |
| 科目数 | 13科目 | 11科目 |
| Strategic Professional | 必須2+選択2(計4) | 必須2+選択1(専門性を明確化) |
| 学歴 | 大卒相当ではない人はFoundation levelから開始するも、実質的に差はなし | 大卒相当ではない人はFoundationsから開始し、実質的に負担増となった |
| 学習アプローチ | 過去問・型の習得が中心になりやすい | 理解→説明→応用(ケース/意思決定)がより重要 |
| 既存合格科目 | — | 移行時にマッピングされる方向(詳細は公式の移行表で確認) |
科目につき、わかりやすくしたものがこちらになります。
まずは従来の科目体系です。ここでは選択科目はAFMとAPRという2科目を合格するとします。

これがこのように新制度では変わります。ここでは選択科目はAFMを合格したとします。

基本的には科目数減少という嬉しい変更となります。
但し各段階でモジュールの終了を求められるようになっていきます。
ACCA 2027新制度の重要ポイント|モジュール(Employability Modules)とは?
2027年からのACCA新制度で、試験科目と同じくらい重要になるのが
Employability Modules(EEMs:実務・就業能力モジュール)です。
これは従来の筆記試験とは異なり、会計プロフェッショナルとして働くために必要な実務スキル
を体系的に身につけることを目的とした必修要素です。
なぜモジュールが導入されるのか
ACCAは2027年改革において、「試験に合格できても実務で十分に力を発揮できない」という課題に対応するため、
モジュールを資格構成の中核に据えました。
- 判断力・説明力など、試験で測りにくい能力を可視化するため
- データ・デジタル・倫理といった横断スキルを体系的に学ばせるため
- 会計専門家を「ビジネスパートナー」として育成するため
2027年以降の必修モジュール一覧
① Responsible Business Management
主なテーマ
- 企業の社会的責任(CSR)
- ガバナンスと説明責任
- ステークホルダー視点での意思決定
利益だけでなく社会全体への影響を考慮し、責任ある経営判断ができるかが重視されます。
ESG・サステナビリティ論点への導入的な位置づけです。
② Digital Tech & Innovation
主なテーマ
- デジタル技術と会計実務の関係
- システム・データ・自動化
- デジタルリスクと内部統制
IT専門知識そのものよりも、デジタル環境下で会計・財務・監査をどう扱うか
という実務的理解が問われます。
③ Ethical & Sustainable Leadership
主なテーマ
- 倫理的意思決定
- 持続可能なビジネスモデル
- リーダーとしての判断と説明責任
倫理を知識としてではなく、行動と判断の基準として実践できるかが評価されます。
将来のCFOやパートナー層を強く意識した内容です。
受験者にとっての意味
- 試験合格だけでなく、実務で使えるスキルを証明できる
- 面接や職務経歴で説明しやすい能力が増える
- 暗記中心の学習から、理解・応用重視へシフトする必要がある

Strategic Professional「選択2→1」へ変更
旧制度では、監査・税務・FM・PMなどから2科目を選び「広く上級論点を学ぶ」設計でした。
新制度では1科目選択となり、キャリア上の専門領域を早めに定める(または定めやすくする)狙いが読み取れます。
ここでは新論点を4つにまとめます。
1)Data:データ分析・データサイエンス
- データの作成・集計だけでなく、解釈→意思決定→説明の力が問われる。
- 選択科目としてData Science Professionalが提示され、会計×分析が本格化。AIなどのデータ重視の時代に対応する力が養われる。
2)Sustainability:サステナビリティ/ESG報告
- Business & Sustainability Reportingのように、報告領域が拡張。
- 財務報告だけでなく、非財務情報(ESG)を含む開示の理解が重要。
- IFRSの動向(サステナビリティ関連基準など)を意識した学習が有利。実務でも役に立つ。
3)Digital:デジタル技術・テクノロジー理解
- デジタル環境での統制、システム、データ品質、リスクといったテーマが重要に。
- 会計・監査の現場はツール前提のため、“使える理解”が評価されやすい。
- 学習では「IT用語の暗記」より、なぜリスクになるか/どう統制するかの理解が鍵。
4)Ethics/Leadership:倫理・持続可能なリーダーシップ
- 倫理はこれまでも重要だったが、意思決定の軸としてより全体に組み込まれる方向。
- ガバナンス、説明責任、ステークホルダー視点の判断がより重視。
- 「正しい仕訳」だけでなく、正しい判断と説明ができる人材像へ。
受験者タイプ別:今からの動き方
これからACCAを始める人
- 2027新制度を見据え、大卒資格のない人は至急ACCAへ挑戦しておく方が負担が少ない。
- 理解→説明→演習の学習スタイルを継続する。
- 基礎となる英語力は身につけておく。会計士は英語ができるのが当たり前。
- 余力があれば、Excel/BIの基礎やデータリテラシーも並走。
すでに旧制度で学習中の人
- 合格済み科目は移行で守られる方向のため、焦って学習品質を落とさない。
- 新論点(Data/ESG/Digital/Ethics)を「追加学習」として抑えにいく。

まとめ:ACCA 2027は「会計×未来スキル」への再定義
ACCAの2027年新制度は、試験制度の変更というよりも、会計プロフェッショナルに求められる能力を
Data / Digital / Sustainability / Ethicsへ拡張する“再定義”です。
早めに新論点の方向性を押さえ、理解中心の学習に切り替えることで、移行後もスムーズに伸びやすくなります。
新制度に関する解説などもセミナーで説明しています。


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