E2 Financial Reporting
継続する学習IFRSに基づく会計処理・財務諸表の作成・連結・分析
IFRS 18など新基準や新シラバスの変更点には対応が必要。
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新旧科目の比較・移行措置・今から始めるべき理由を、ACCA公式の移行ガイド(2026年10月公開)をもとに図解で徹底解説します。
国際会計士資格ACCAは、2027年に資格制度の大幅な改革を実施します。試験科目の再編成、新しい学習モジュールの導入、Strategic Professionalの選択科目数の削減など、大きな変更が予定されています。
「2027年に試験が変わるなら、今から勉強しない方がよいのでは?」「合格した科目は新制度でどう扱われる?」——こうした疑問をお持ちの方に向けて、本記事では公式の移行ガイドをもとに制度改革を詳しく解説します。
今回の改革は資格体系・科目構成を大きく変えるものですが、IFRS・監査・財務管理・税務といった専門知識の根幹が入れ替わるわけではありません。旧制度での合格科目は原則として新制度の対応科目へ移行クレジットが与えられます。
したがって、制度変更を理由にACCAの学習開始を待つ必要は基本的にありません。ただし、移行前にどこまで合格しているかで必要な学習量やモジュールが変わるため、受験計画には注意が必要です。
今回の改革の背景には、会計士に求められる能力の変化があります。AIやデジタル技術の発展により、仕訳入力・請求書処理・データ集計・照合といった業務の一部は、すでにソフトウェアやAIによって自動化されています。今後この流れはさらに進むと考えられます。
一方で、財務諸表を分析して経営状態を評価する、投資の妥当性を判断する、リスクを管理する、経営陣に助言するといった仕事には、引き続き専門的な知識と判断力が求められます。
新制度では、従来の会計・財務の知識に加えて、次の能力がより重視されます。
つまり、会計の基本知識を軽視するのではなく、それを実際のビジネスに活用する能力を強化する方向性です。
現在の3レベル構成が、2027年の改革後は新しい名称・構成に再編されます。
FoundationFoundations(再編成):3試験+1モジュール構成に
※旧科目から新科目への移行対応を示します。すべての出題内容が同一という意味ではありません。
現在のBT(Business and Technology)は独立した試験科目としては残らず、新しいResponsible Business Managementモジュールへの移行クレジットの対象になります。
現在はSBL・SBRの必須2科目に加えて、AAA・AFM・APM・ATXから2科目を選択する必要があります。しかし新制度では、必須2科目+選択1科目のみとなり、さらに新しい選択科目としてData Science Professionalが加わります。
ただし、新モジュールの導入や試験内容の更新も行われるため、資格全体の難易度が単純に下がると考えるべきではありません。
制度変更は2027年1月1日に一斉実施されるわけではなく、試験のレベルによって移行時期が異なります。
2027年6月が、現在のApplied Skills・Strategic Professionalの最終試験セッションになります。2027年9月からは新制度のシラバスに基づいて受験することになります。
ただし、LW-ENG・LW-GLOなど一部のOn-demand試験は2027年7月まで旧制度で受験できる期間が設けられます。現行ディプロマ取得に必要な試験・モジュールについても2027年7月中旬に別途期限が設けられる予定です。日付未確定のものは、ACCAが今後発表する正式な期限を確認してください。
最も誤解してほしくないのがこの点です。科目名や資格体系は大きく変わりますが、従来学んでいた会計・監査・財務の専門知識が全く別のものに置き換わるわけではありません。代表的な科目で継続性を見てみましょう。
継続する学習IFRSに基づく会計処理・財務諸表の作成・連結・分析
IFRS 18など新基準や新シラバスの変更点には対応が必要。
継続する学習NPV・IRR・WACC・運転資本管理・資金調達
企業の投資意思決定・財務管理が引き続き中心分野。
継続する学習監査リスク・内部統制・監査証拠・監査手続
リスクとコントロールの要素がより明確に位置づけられる。
継続する学習管理会計・業績評価の基礎
データ分析をより明確に取り入れる方向へ。
「学習内容」と「試験対策」を分けて考えることが重要です。今学んでいる会計知識は無駄になりませんが、旧制度の教材だけで新制度の試験に十分対応できるとは限りません。2027年9月以降の受験では、新シラバスとサンプル問題に対応した教材を使いましょう。
ACCAは、旧制度での合格実績について、新制度の対応科目に移行クレジットを付与すると発表しています。つまり、制度が変わっても、これまで合格した科目が無効になるわけではありません。
現在のBTに合格していれば、新制度のResponsible Business Managementモジュールへの移行クレジットが認められます。移行前にBT未合格の場合は、原則として新モジュール(ACCAによると約60時間・有料予定)が必要になります。なお、Foundations in Professionalism(FiP)修了者は、新モジュールの一部ユニットのクレジットを受けられることがあります。
現在Applied Skillsに属するLWは、新制度ではKnowledgeのK3 Business Lawに移動します。移行前にLW合格済みならK3への移行クレジットが認められ、未合格なら新制度でK3の受験が必要です。LWをまだ受験していない方は、移行前の合格も検討するとよいでしょう。
Applied Skills学習者にとって重要なのが、Digital Tech and Innovationという新モジュール(デジタル技術・AIなど、約100時間想定・有料予定)です。移行前にApplied Skillsの全6科目(LW・TX・FR・AA・FM・PM)を修了した人には、このモジュールへの移行クレジットが認められます。
Applied Skillsの5科目に合格済みで、残りがFRだけの受験生。2027年6月までにFRに合格すれば全科目修了となり、Digital Tech and Innovationモジュールの受講が不要になります。一方、FRに合格できなければ、移行後にE2 Financial Reportingを受験する必要があり、さらに全科目未修了のため原則として新モジュールも必要になります。
つまり、移行前にあと1科目合格できるかで今後の学習負担に差が生じ得ます。ただし無理に短期間で多くを受験するのが最善とは限りません。合格可能性と確保できる勉強時間を踏まえて現実的な計画を。なお、学歴による科目免除と、合格・免除実績に基づく移行クレジットは異なる仕組みです。免除利用者はACCA公式のTransition Toolで個別確認をおすすめします。
選択科目が2科目から1科目になるため、「待った方が効率的では」と考える方もいるでしょう。例えばSBL・SBR・AFMの3科目に合格済みの場合、旧制度ではさらに選択1科目が必要ですが、新制度では必須2+選択1の実績が認められ、移行後の試験要件を満たすことになります。
試験要件を満たすことと、Affiliateになること、ACCA会員になることは別です。新制度ではAffiliateになるためにEthical, Sustainable Leadershipモジュールも必要になります。そこで重要なのが現在のEPSMです。
現在のEthics and Professional Skills Module(EPSM)を移行前に修了すれば、新制度のEthical, Sustainable Leadershipモジュールへの移行クレジットが認められます。想定学習時間を比べると差は歴然です。
現在のEPSMは約£83で、新モジュールの料金は2027年1月に発表予定です。現在EPSMを受講できる方は、移行前の修了を検討する価値があります。ただし選択科目が減るからといって2027年まで待つ方が必ず有利とは限りません。資格取得が遅れることによる転職・昇進の機会損失も考慮を。なお、Strategic Professionalの7年ルールは新制度でも維持されます。
Foundation(Foundations in Accountancy/FIA)は、大学の学位など、ACCA本資格に直接進むための入学要件を満たしていない方のための入門ルートです。学歴要件を問わず学習を始められ、会計の基礎を固めたうえで、要件を満たせばACCA本資格(Knowledge以降)へステップアップできます。すでに大卒などの要件を満たす方は、Foundationを経由せずKnowledgeから直接スタートできます。
新しいFoundationsは、次の3試験+1モジュールで構成されます。
現在のFoundationで合格済みの科目も新制度に引き継がれます。上位Foundation科目の移行クレジットは次のとおりです。
| 現在のFoundation科目 | 新制度での移行クレジット |
|---|---|
| FFA | F1 / K1 |
| FMA | F2 / F3 / K2 |
| FBT | Responsible Business Management モジュール |
| FiP | Enterprise and Entrepreneurship モジュール |
例えばFFA・FMA両方に合格していれば、新FoundationsのF1・F2・F3すべてに対応するクレジットが認められ、Foundationを一から受け直す必要はありません。さらにFFA・FMAはKnowledgeのK1・K2にも対応します(K3 Business Lawは別途対応が必要)。Knowledgeへ直接移行するか、Foundationsから進むかは学習・入学要件の状況によって異なるため、個別の移行条件の確認が特に重要です。
2026年現在ACCAを目指す方に向けて、状況別の進め方を整理します。
制度変更を待つ必要は基本的にありません。FA・MA・Foundation科目で学ぶ会計の基礎は新制度でも重要で、合格科目は新制度に引き継がれます。早く基礎を固めるメリットが大きい段階です。
終盤まで進んでいるなら、2027年6月までに全6科目を修了できるか検討を。完了すればDigital Tech and Innovationモジュール(約100時間・有料予定)が不要になります。残科目が多い場合は移行前提の計画でもOK。
選択科目の合格状況で最適解が変わります。すでに選択1科目を合格済みなら必須科目を優先するのが合理的なケースも。EPSMを移行前に修了するメリットも確認しましょう。
FFA・FMA・FBT・FiPの状況で移行後に必要な科目が変わります。特にFFA・FMAの合格は新制度で複数科目のクレジット(Foundations+Knowledge)につながります。Foundationはあくまで入口。早めに合格してKnowledgeレベルへ上がるほど、総コストと取得期間を抑えやすくなります。
基本的には損ではありません。現在の試験で合格した科目は新制度の対応科目へ引き継がれます。会計・監査・財務などの基礎知識は新制度でも重要です。
一概には言えません。Strategic Professionalでは選択科目が1科目減りますが、新モジュールの導入やシラバスの更新もあります。ACCAは新制度でも資格の厳格さを維持するとしています。
基礎知識の理解には役立ちますが、新制度の試験対策として十分とは限りません。新制度で受験する場合は、最新シラバスとサンプル試験に対応した教材の使用をおすすめします。
原則として、対応する新制度の科目に移行クレジットが与えられます。ただし個別の免除条件やStrategic Professionalの7年ルールには注意が必要です。
2027年時点では現行のPractical Experience Requirement(PER)が維持されます。引き続き36か月の関連実務経験と所定のPerformance Objectivesなどを満たす必要があります。
2027年のACCA制度改革では、試験の体系や科目構成が大きく変わります。重要な変更点は次のとおりです。
そして何より強調したいのは、今回の改革によってこれまで学んだ会計知識が無駄になるわけではないということです。IFRS・財務管理・監査・税務・管理会計といった専門知識は新制度でも引き続き重要です。制度変更を必要以上に恐れず、移行措置を理解し、自分の状況に合わせて学習を進めることが大切です。
近年、AIは定型的な計算や選択式(客観式)の問題を高い精度でこなすようになりました。だからこそ、「AIにもできること」を身につけるだけの学習は、これからの時代に差別化しづらくなっていきます。計算や暗記、客観式の知識再生に比重が偏った学習だけでは、次の時代に求められる力をカバーしきれません。
ACCAは、上位科目が英語の記述式(ケース・エッセイ形式)で構成され、分析・説明・総合的な専門判断、そして英語での表現と理解を、実務さながらに鍛えます。計算や暗記はAIが担う時代。だからこそ、次世代に求められる力まで引き上げられるACCAの価値は、これからさらに高まっていきます。
本記事は2026年10月10日時点のACCA公式情報に基づいて作成しています。
※制度の詳細・料金・最終受験期限などは今後更新される可能性があります。受験申込時には必ずACCA公式サイトの最新情報をご確認ください。