ACCAは本当に難しいのか？

結論から言うと、ACCAは決して簡単な資格ではありません。
ただし、日本の「一発勝負型の超難関試験」とは違い、ACCAは科目合格を積み上げる設計です。
そのため、継続できる学習環境を作れれば、社会人でも十分に到達可能な資格と言えます。

ACCAの難易度を決める3つの要因

1. 実務重視で「考えさせる」試験

ACCAは暗記やパターン学習だけでは伸びにくい試験です。
とくに上位レベルでは、なぜその結論になるのかを説明する力や、
ケースに応じた判断が問われます。会計知識を「使う」場面が多いほど、難しく感じやすくなります。

2. 英語で受験する必要がある

ACCAは原則英語で受験します。とはいえ求められるのは文学的な英語ではなく、
会計・財務のビジネス英語が中心です。専門用語や典型表現に慣れるほど、
読解の負担は下がっていきます。

大学受験のような複雑な未来完了形やら仮定法過去完了などはわからなくても読めて書けるようにはなります。

3. 長期戦になりやすい

全13科目のため、合格までに年単位の時間がかかりやすい資格です。
逆にいえば、長期戦を前提に計画・習慣・モチベーション維持ができる人ほど強いです。

ACCAの合格率の目安（レベル別）

ACCAではセッションごとに合格率が公開されます。ここでは「傾向を掴むための目安」として、
レベル別のイメージを整理します（実際の数値はセッション・科目で変動します）。

Applied Knowledge（基礎レベル）

• 合格率の目安：60〜80%前後
• 特徴：導入段階。会計初学者でも取り組みやすい

Applied Skills（応用レベル）

• 合格率の目安：40〜50%前後が中心
• 特徴：ここから難易度が上がる。理解＋演習量が重要

Strategic Professional（戦略レベル）

• 合格率の目安：40%前後の科目も多い
• 特徴：記述・ケース中心。判断力と説明力が問われる

ACCA合格までの勉強期間・学習時間の目安

ACCAの合格までの期間は個人差が大きいものの、目安として3〜5年程度と言われることが多いです。
これは「仕事・家庭と両立しながら」「科目合格を積み上げる」前提での現実的なレンジです。

総学習時間の目安

レベル別の一般的な目安を積み上げると、合計で1,500〜2,500時間程度が一つの基準になります。
もちろん会計経験・英語力・学習の質によって前後します。

• 基礎：1科目あたり50〜150時間（合計150〜400時間）
• 応用：1科目あたり100〜200時間（合計600〜1,200時間）
• 戦略：1科目あたり150〜250時間（合計600〜1,000時間）

ポイントは「短期間で一気に」ではなく、毎週の学習時間を固定して積み上げることです。

社会人の現実的スケジュール例（週10〜15時間）

社会人が無理なく継続するなら、週10〜15時間（平日1〜2時間＋週末にまとめて）を一つの目安にすると計画しやすいです。
年間で500〜700時間を確保できると、3〜4年での完走が現実的になります。

例：週12時間のモデル

• 平日：月〜金のうち4日×1.5時間＝6時間
• 土日：3時間×2日＝6時間
• 合計：12時間／週

実際に当社の生徒様でもこの程度の学習時間の方が多いようです。

一日1.5時間であれば、通勤時間や昼休みなどの隙間時間を活用して何とか作り出すことができます。

試験直前は「演習比率を上げる（インプット2：アウトプット8）」のがコツです。
応用・戦略レベルほど、演習と復習の回転数が合否を分けます。

他資格との難易度比較（公認会計士・USCPA）

日本の公認会計士

• 特徴：一発勝負色が強い短期集中型
• 体感：瞬間風速の難易度は非常に高い

USCPA

• 特徴：科目数は少なめ（学習設計が立てやすい）
• 体感：合格までの期間は1〜2年にまとまりやすいが、失効期限を気にしながらのプレッシャーは大きい

ACCA

• 特徴：科目数が多く、長期の継続力が必要
• 体感：長期的な負荷・総合力は高いが最も実力が付く

まとめると、短期の難易度は公認会計士、長期での総合負荷はACCAと感じる人が多いイメージです。
どれが上というより、ライフスタイルとキャリア目的で「合う資格」が変わります。

ACCAの難易度が「向いている人・向いていない人」

向いている人

• 毎週の学習を習慣化できる（継続力がある）
• 実務に役立つ会計・財務スキルを伸ばしたい
• 英語を「完璧に」ではなく「目的のために使える」ようになりたい
• 外資系・海外・IFRS領域にキャリアの軸を置きたい

向いていない人

• 短期合格だけを目的にしている
• 英語を避けたい（日本語で完結したい）
• 国内税務・国内会計にキャリアを完全特化したい

よくある質問

Q. 英語が苦手でもACCAに挑戦できますか？

可能です。会計英語は頻出表現や専門用語が繰り返し出ます。
最初は負担が大きくても、演習を重ねるほど「読める範囲」が増えていきます。

しかし英語力があればあるほど有利であることは間違いはありません。

まずは大学受験程度の英語は学びなおした上で学習することをおススメします。

Q. 勉強期間を短縮するコツは？

「毎週の固定学習時間」と「アウトプット中心の回し方」が最重要です。
応用・戦略レベルはインプットだけ増やしても伸びにくいので、演習→復習の回転数を上げると効率が上がります。

特に過去問を数多く解き、その中で知識を確認していくという方法をおススメしています。

Q. まず何から始めるのがよい？

まずは基礎レベルから入り、学習の型（時間の確保・復習サイクル）を作るのがおすすめです。
そのうえで応用レベルに進むと、挫折リスクが下がります。

大切なことは学習習慣を身につけることです。これ無しでは最後まで合格は不可能です。

まずは1科目から、毎日コツコツと学習をして結果を出すことです。

まとめ｜ACCAは「難しいが現実的」な国際資格

ACCAは、合格率が40〜50%前後の科目が多く、英語・実務判断・記述力が求められるため簡単ではありません。
一方で、科目合格を積み上げられ、週10〜15時間の学習を継続できれば、社会人でも十分に合格を狙える資格です。

簡単ではないが、不可能ではない。そういう資格です。

難易度だけで判断せず、将来のキャリア価値と合わせて検討すると後悔しにくくなります。